【留学から技人国へ変更】就労開始日はいつ?雇用契約・社会保険の注意点を解説

外国人留学生を採用する企業にとって、在留資格変更後の「就労開始日」は重要な確認事項です。
特に4月入社を予定していた外国人留学生の在留資格変更許可が4月以降になった場合、雇用契約の開始日や社会保険の加入日をどのように扱えばいいのか、迷うこともあるでしょう。
今回は、「留学」から「技術・人文知識・国際業務(技人国)」への在留資格変更を例に、就労開始日と雇用契約・社会保険の関係についてQ&A形式で解説します。
Q1.在留資格変更が4月11日に許可された場合、いつから働けますか?
【質問】
外国人留学生を採用する予定です。
「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更が許可され4月11日に新しい在留カードを受け取りました。
この場合、4月11日から就労を開始できるのでしょうか?
【回答】
原則として、在留資格変更許可の効力が生じた日から、許可された在留資格に該当する業務に従事できます。
今回のケースで、4月11日に在留資格変更の許可を受け、新しい在留カードが交付されたのであれば、同日から「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務を開始できます。
ただし、注意したいのは、単に「在留カードを受け取った日」ではなく、在留資格変更許可の効力が生じた日が重要であるという点です。
また変更許可前に「留学」の在留資格が認められていない就労を行うことはできません。
資格外活動許可を受けている場合でも、その許可の範囲を超えてフルタイム勤務を解することはできないため、注意が必要です。
Q2.雇用契約の開始日を4月1日、実際の就労開始日を4月11日としても問題ありませんか?
【質問】
会社では、新卒の入社日を4月1日に統一しています。
そのため、外国人留学生についても雇用契約書上の開始日を4月1日とし、実際の就労開始日を在留資格変更許可後の4月11日にしたいと考えています。
このような取扱いは可能でしょうか?
【回答】
雇用契約の開始日と実際の修了開始日が異なること自体が、直ちに入管法違反となるわけではありません。
ただし、在留資格変更許可前に、許可されていない就労を行わせないことが重要です。
例えば、雇用契約書上の開始日が4月1日であっても、4月1日から4月10日までは業務に従事せず、4月11日の変更許可後から就労を開始したという事情があれば、実際の就労状況を説明することが可能です。
もっとも、雇用契約が4月1日から有効となる場合、賃金の支払義務や社会保険・雇用保険の資格取得日など、労働関係法令上の問題も生じます。
そのため、単に「働いていなかった」「給与を支払っていなかった」という説明だけで、すべての問題が解決するわけではありません。
企業としては、雇用契約の内容と実際の勤務状況が一致するよう、慎重に対応する必要があります。
Q3.雇用契約書には、どのように記載するのが適切ですか?
【回答】
例えば、次のような記載です。
【雇用契約書の記載例】
「本契約に基づく就労の開始は、申請人が在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可を受け、当該業務に適法に従事できる状態となった日以降とする。具体井的な雇用開始日及び就労開始日は、変更許可の状況を踏まえ、労使協議のうえ書面で確定する。」
このように、在留資格変更許可を前提とすることを明記しておけば、許可前の就労を予定しないことが明確になります。
なお、上記はあくまで記載例です。実際には、賃金、雇用期間、社会保険などの取扱いと矛盾が生じないよう、契約全体を確認する必要があります。
Q4.社会保険・雇用保険の加入日は4月1日と4月11日のどちらになりますか?
【回答】
社会保険や雇用保険の資格取得日は、それぞれの制度の基準に従って判断します。
- 健康保険・厚生年金保険
健康保険・厚生年金保険では、原則として、加入要件を満たし、適用事務所との事実上の使用関係が発生した日が資格取得日となります。
そのため、雇用契約書に4月1日と記載されているだけで、必ず4月1日が取得開始日になるとは限りません。
一方で、初出勤日が4月11日であるという理由だけで、必ず4月11日になるとも限りません。
- 雇用保険
雇用保険では、原則として、加入要件を満たした労働者が雇い入れられた日を資格取得日とします。
実際の初出勤日ではなく、雇用契約上の在籍開始日が基準となる場合もあります。
したがって、4月1日から雇用関係が成立している場合には、4月11日からしか出勤していないことを理由に、当然に雇用保険の資格取得日を4月11日とできるわけではありません。
- 労災保険
労災保険は、原則として適用事業に使用される労働者を対象とする制度です。
健康保険や雇用保険とは異なり、通常、労働者一人ひとりについて資格取得届を提出する制度ではありません。
以上のように、各制度で取扱いが異なるため、具体的な加入日については、年金事務所やハローワーク、社会保険労務士などに確認することが重要です。
Q5.雇用契約の開始日と就労開始日が異なると、入管から問題視されますか?
【回答】
雇用契約上の開始日と実際の就業開始日が異なるだけで、直ちに不法就労と判断されるわけではありません。
重要なのは、在留資格変更許可前に、認められない就労を行っていないことを客観的に説明できるかどうかです。
企業としては次のような資料を適切に管理しておくことが望まれます。
・雇用契約書・労働条件通知書
・在留資格変更許可日を確認できる資料
・出勤簿・タイムカードなどの勤怠記録
・給与台帳・給与明細書
・実際の就労開始日を確認できる社内記録
これらによって、変更許可前の就労の有無や雇用関係の実態を説明しやすくなります。
ただし、資料を整備すれば必ず問題がなくなるというわけではありません。実際の勤務状況と書類の内容が一致していることが重要です。
まとめ|留学から技人国への変更では就労開始日の管理が重要
外国人留学生を採用する場合、在留資格変更許可が予定より遅れることがあります。
そのような場合には、企業側で雇用契約や入社手続を適切に調整することが大切です。
特に重要なのは、次の3点です。
- 在留資格変更許可前に、認められていない業務に従事させないこと
- 雇用契約の開始日と実際の就労開始日の関係を明確にすること
- 社会保険・雇用保険の加入日をそれぞれの制度に従って判断すること
実務上は在留資格変更許可の時期が確定していない段階で、雇用開始日や就労開始日を無条件に固定しないことが望ましいでしょう。
また、雇用契約書の記載と実際の就労状況に相違が生じた場合、必要に応じて契約内容を調整し、適切な記録を残しておくことが重要です。
※本記事は一般的な制度説明です。個別の雇用契約や保険加入日の判断については、具体的な事情に応じて関係機関や専門家への確認が必要です。
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